■[宮崎駿]『天空の城ラピュタ』をもっと楽しく観るための制作マル秘エピソード!

■あらすじ『ある夜、飛行中の大型飛行船を空賊ドーラ一家が襲撃。政府特務機関に捕らわれていた少女シータは、混乱に紛れて指揮官であるムスカ大佐を気絶させると、彼の懐から青い石のペンダントを取り返す。しかし、窓を伝って逃げようとした時、シータは客船から転落。雲間を落ちていく中、胸にかかっていたペンダントが突然光を放ち、シータは光に包まれゆっくりと降下していった。その頃、鉱山町で働く少年パズーは、空から降りてきたシータを目撃、驚きつつも自宅にかくまう。パズーの亡父は冒険家だったが、かつて、空に浮かぶ城「ラピュタ」を見ていた。そしてシータがラピュタ人の子孫であることと、シータ が持っているペンダントの石は「飛行石」であることを知るに至って、パズーはラピュタの実在を確信する。だが、その直後に政府の軍隊が現れ、シータは捕らわれてしまった。果たしてパズーは彼女を助け出すことができるのか?そして「飛行石」に隠された驚愕の秘密とは?スウィフトの「ガリバー旅行記」をモチーフに、宮崎駿オリジナル原案で描いたアクション・アドベンチャー!』



本日は金曜ロードショー宮崎駿監督作品『天空の城ラピュタ』が放映されます。これに対してネット上では「ラピュタ何回目だよ」、「ラピュタは滅びぬ!何度でも蘇るさ!」、「お前らのラピュタ好きは異常」、「3分間待ってやる」、「バルスキター!」など、これまで繰り返しテレビ放映されているにもかかわらず、それを感じさせない盛り上がりを見せています。

なぜなら、過去に地上波で『ラピュタ』が放映されるたびに、2ちゃんねるの関連スレッドには大量の書き込みが投稿され、「人がゴミのようだ!」というムスカの名セリフの後に迎えるクライマックスで熱狂はピークに達し、パズーとシータが滅びの呪文バルス」を唱えた瞬間、ユーザーが一斉に「バルス!」と書き込み、その負荷に耐え切れず関連板のサーバーがダウンする、という一連の流れが毎回の恒例行事(?)となっているからです。

また、前回(2011年12月)の放送時には、ツイッターでなんと毎秒2万5088もの「バルス!」がツイートされ、世界最高記録(当時)を樹立したことでも話題となりました。現在この記録は13年1月の「あけおめ」ツイート(毎秒3万3388ツイート)によって破られてしまいましたが、ニコニコ動画では「バルス祭り」と題した特別イベントを開設し、世界記録の更なる更新を狙っているようです。

某国からの総攻撃にも耐え抜いた堅牢な2ちゃんねるのサーバーですら一撃で陥落させる脅威の呪文「バルス」!(これってもう、一種のサイバーテロじゃないの?)。果たして今回もサーバーは落ちるのか?それとも耐え切るのか?結末やいかに!という話とは関係なく、本日は『天空の城ラピュタ』の制作裏話についてまったりと書いてみますよ。

 

●『ナディア』の元ネタは『ラピュタ』?

ファンの間ではかなり有名な話ですが、もともと『天空の城ラピュタ』のストーリーは、NHKで放映されたTVアニメ「『ふしぎの海のナディア』を作るために宮崎駿が考えた原案が元ネタ」と言われていました。具体的には、『風の谷のナウシカ』の作業が終わった後、宮崎監督はNHKが企画した『海底世界一周』というテレビアニメプロジェクトに参加し、その時に原案とイメージボードを提出したのだそうです。

 

 

この時の原案は、不思議な力を持ったペンダント(飛行石?)が出てきたり、そのペンダントを狙う盗賊団が元気なお婆さん(ドーラ?)とその息子たちだったりと、『ラピュタ』にそっくりな内容でした。

この企画は一旦保留になりますが、その後『ラピュタ』が劇場公開 → それを観たNHKが『海底世界一周』の企画を再検討 → タイトルが『ふしぎの海のナディア』に変更される、という経緯を辿ったらしい。そしてこの企画は、様々な会社を通じて『新世紀エヴァンゲリオン』でお馴染みのアニメ制作会社ガイナックス」が請け負うことになりました。

当初はキャラクター・デザインを担当した貞本義行さんが監督を務める予定だったものの、あまりにも『ラピュタ』にそっくりな内容に思わず、「これって『ラピュタ』のパクリですよね?」会議の席上で本音を暴露し、それを聞いたNHKの偉い人が大激怒!結局、貞本さんは降板し、庵野秀明さんが監督することになってしまいました。

しかし、「『ラピュタ』のパクリだ」と批判されることを恐れた庵野監督がNHK側に内緒で勝手にストーリーや設定を変更しまくった結果、現在の『ナディア』が出来上がった、というわけなのです。まあ、どっちがどっちをパクったかという話ではなく、ラピュタ』も『ナディア』も発案者は宮崎駿だった、ということですね。

 

●「飛行石」の元ネタ?

そんな宮崎さんが考えた『天空の城ラピュタ』のアイデアは、ジュール・ヴェルヌのSF冒険活劇やジョナサン・スウィフトの『ガリヴァー旅行記』(”空飛ぶ島”の名前)など、様々な作品から着想を得ているようですが、中でも福島鉄次の影響が大きかったらしい。

島鉄次は1940年代に活躍していた作家で、秋田書店から創刊された『冒険王』に「ポップ少年の冒険 ダイヤ魔神」を連載し、当時の子供たちから絶大な人気を博していました。宮崎監督も少年時代に福島鉄次の絵物語を愛読しており、特に『砂漠の魔王』が大好きだったそうです。

その内容は、「ある不思議な香炉を焚くと赤いマントをまとった巨大な魔王が現れ、主人公命令に従い強大な魔力を発揮する」という物語で、『アラジン魔法のランプ』に良く似ていますが、この魔王が空を飛ぶ時に使用するアイテムの名前が「飛行石」なのですよ。